ペットラインとの出会いは？

開いていた個展を見たペットラインの社員さんから突然のオファーでした。当時ペットラインの存在は知りませんでしたが、多くの作家の中から選ばれたことに驚きがありました。また、商品パッケージを手掛けることが初めてでもあり、売上に直結しそうな重大なお仕事であると感じ、正直不安もありました。しかし、これからプロとして活動する上で良い経験になると思ったこと、自身の作品で飼主や動物の役に立てることは光栄だと思い受ける事にしました。

作品を描くときに大切にしていることは？

リアル感だけではなく、絵としての温かみを感じていただけるようにしています。見ていると匂いを感じるくらい、触れそう、瞬きしそうなど躍動感も大切にしています。作品としてみたときに、色味、質感が写真のようだと言っていただくことももちろん嬉しいですが、鉛筆ならではの部分は、現実ではありえない部分も描けることです。

瞳を大切にしていると伺いましたが、
それ以外に動物を描くとき
重要な部分はありますか？

毛並みの柔らかさですね。よりリアルにするために多くの色を重ねていく作業が重要です。毛の流れや、毛の長さ、その密度を大切にしています。

ちょっとだけコツを教えていただけますか？

毛並みの流れに若干のばらつきを持たせることでしょうか。あまりに綺麗に整いすぎているより、逆行した毛並みがあったりするとより自然に出来上がります。例えば、地面を描くときも毛が落ちている様子を描きます。

なるほど～！！！確かに落ちますよね、毛が。きれいに見せすぎないことなんですね。

先にひげを描きます。紙に溝をつけておくと、そこには色鉛筆がのりません。

今回、パッケージデザイン制作にあたり
苦労したところは？

隠れハートの位置です。
お話しをいただいた際に、ドクターズは動物病院から飼主の方にお渡しされる商品と聞き、受け取る方はきっと動物のことが心から大好きで、とても大切にされている方だろうと思いました。ですので、愛情を込める意味でもハート模様が良いのではと提案しました。しかし、実際描いてみると、描く位置や角度、毛の流れなど不自然にならないようにするにはどこが良いのか苦労しました。失敗したらやり直しになってしまうので、より慎重になりました。手に取ってくださった方には、こんなところに！？と驚いていただきたいです。

鉛筆画ならではのアイディアで素敵なサプライズになりました。ありがとうございます。キャンペーン当選者の方にも、リクエストがあったら毛並みにマークや名前などを入れていただくリクエストはお受けいただけますか？

もちろんです！ぜひリクエストいただきたいです。

画材へのこだわりや愛着はありますか

画材もただの道具ではなくて、体の一部だと思っています。大切にすること、最後まで使い切ることが、道具に対する恩返しの意味があると思っています。誠意を込めてギリギリまで使い切るようにしています。

Twitterでとても小さくなった色鉛筆をお見掛けしました。音海さんの誠実なお人柄を表すようでした。

色鉛筆は描き始めたころ色々な種類を購入して試しました。色鉛筆にも油分の量など様々な違いがあって。今はしっくりくるものを見つけることができました。　

作品を制作するリズム

制作が立て込んでくると夜になることはあるのですが、眠くなるとミスも増えるので、できるだけ深夜には作業しません。長時間作業していると腕が疲れてきます。基本的には描きたいときに作業して、うまく進まない時には無理をして描かないようにしています。

実際のパッケージデザインを見て

動物病院専売のフードであるので、正直すぐにイメージが湧きません。でも、このドクターズを受け取る方は、わざわざ動物病院に行って購入する方ということですよね。こういった製品を求める方は、動物にとても愛情を注いでいる方だと思います。このパッケージの絵を見てもらって、かわいいと思ってもらえたり、温かみを感じてもらえたら嬉しいです。また、まさか色鉛筆だと思わなかった！という驚きも感じてもらえたら嬉しいです。
また国産メーカーさんとのコラボのお仕事はやってて楽しかったです！

音海さんご自身は現在わんちゃんを
飼われているのですか？

色鉛筆を始めたきっかけは、テレビで見て衝撃を受けた鉛筆画が猫だったので猫を描くようになったのですが、今は豆柴（オレオ・♂２歳）を飼っています。

音海さんご自身がペットフードを選ぶときの基準はありますか？

この子が好きなものが入っているかどうかや、ウェットフードなどのカリカリだけじゃないものも挑戦してみたり、とにかくこの子が好きものを買ってあげたいと思っています。あとは、やっぱり国産がいいとは思っています。

わんちゃんのごはんで苦労された経験はありますか？

飼いはじめたころ、同じカリカリを与えていたら、一時期食べなくなってしまったことがありました。種類を変えてみたけど食べなくて、病院でも原因がわからずとっても心配しました。ごはんにおやつをまぜたり色々と工夫して、食べムラはなくなりました。今はすぐに完食してくれているので安心です。

プロとして活動する上での将来像は？
（※2022年12月インタビュー時は大学生）

作品で誰かを喜ばせることができる人になりたいです。
展示会やＳＮＳの画像でも、見てくださった方に匂いが感じられそうなくらいリアルだと思ってもらいたい。プロになったら、個人の方中心に作品をお届けしたいです。ご要望にできるだけ沿って作品づくりをして、できるだけ満足いただける最高の作品をお届けしたいです。ご依頼の流れはこれから決めていきます。まずは展示会で依頼の募集をするつもりです。

故郷への思い入れは？

ずっと山形で暮らしていて、幼少期より地域の方に支えられてきました。地域に貢献できるような作家になりたいです。山形のいいなと思うところは、美味しいものが多いとか、自然が豊かとか、色々ありますが、ものすごく親切な方ばかりだなと感じています。 あと、遠くから見える山々が四季に応じて色が変わってとても綺麗な所が好きなところであり、こんなに四季の変化を綺麗に見られる場所は他にはないのではと思い自慢でもあります。コロナ禍真っ只中で、なかなか地元で展示会ができなかったのですが、最近になって少しずつ山形でも実施できるようになってきました。ぜひ展示会の際には足を運んでいただきたいです。