猫が毛繕いするのはなぜ?その理由と心理・頻度の変化でわかる注意サインを紹介
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猫が毛繕い(けづくろい)をする理由は、「きれい好きのため身なりを整えている」と考える人が多いと思いますが、必ずしもそれだけが理由ではありません。実はストレスが関係している場合もあるのです。この記事では、猫が毛繕いをする理由やタイミングなどを紹介します。
猫が毛繕いをする理由・心理
そもそも、なぜ猫は毛繕いをするのでしょうか。 その理由や心理として考えられる要素は、大きく7つあげられます。以降で詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
健康維持のため
毛繕いは、健康維持のためにしています。猫は自分の体に付着した匂いやゴミ、ほこりを取り除き、毛玉や皮膚病から守っています。
体を清潔に保つため
猫は、きれい好きであるため、基本的にシャンプーは必要ありません。室内で飼っている猫がシャンプーをしなくてもニオイが少ないのは、毛繕いのおかげです。
毛並みを整えるため
猫の舌はザラザラしています。このザラザラした舌がブラシの役目をはたして、毛並みがきれいに整います。毛並みを整えることで、猫にとっての小さな天敵であるノミ対策になります。
匂いをつけたいため
猫は、自分の匂いがついていると落ち着きます。毛繕いで舐めて自分の匂い付けを行い、気持ちを落ち着かせるといわれます。 また、母猫は子猫に一生懸命毛繕いを行う姿がみられますが、母猫が子猫を舐めるのも、匂いを付けるためだと考えられています。
リラックスする・緊張をほぐすため
毛繕いは、リラックスや緊張をほぐす意味合いでされているケースもあります。例えば、猫が何か失敗をした時など、ごまかすように毛を舐め始めるシーンを見たことがあるでしょう。 この行動は自分自身をリラックスさせるために行っています。また、飼い主さんに叱られた後などに毛繕いを行うのは緊張をほぐしている時です。 子猫期に母猫にしてもらった毛繕いで安心し、それを覚えているため気分を落ち着けたい時に毛繕いをすると言われています。
体温を調節するため
毛繕いは体温調節の役割もあります。舐めて唾液で濡らし、その気化熱を利用して体を冷やします。
仲間同士で親愛の情を示すため
母猫が子猫に毛繕いを行い、そのうち子猫同士でも毛繕いを始めて信頼関係を深めます。側にいる仲間の匂いが付いていることで安心するのでしょう。さらに、飼い主さんを舐めることもあります。ザリザリされて痛いかもしれませんが、猫ちゃんなりの愛情表現なので受け入れてあげましょう。
猫が毛繕いをするのはいつ?どんな時?
猫の毛繕いは、決まったタイミングでされています。具体的には、以下のようなタイミングです。
・ご飯を食べた後
・リラックスしている時
・ストレスを感じた時
様々な病気の元であるストレスが原因の場合は対策が必要です。毛繕いの様子を観察しながら、猫の状態を見極めましょう。
ご飯を食べた後
ご飯を食べた後は口の周りをきれいにします。大きく口を開けて舐めるのも毛繕いの一種です。 次に前足で口を拭い、汚れた前足は舐めてきれいにします。きれいな前足で目や耳を毛繕いしていくのが主な順番です。食事後は前足と口に時間をかけて毛繕いします。これは野生の本能で、食事のにおいを残さないため丁寧に行います。 このタイミングでの毛繕いには個体差があり、1分程度で終わる猫がいれば10分以上かけるケースもあります。
リラックスしている時
くつろいでいる時には、自分のにおい付けや毛並みを整える目的で行います。手順は、顔→背中→お腹→後ろ足の順番になります。 後ろ足をまっすぐ伸ばしてお尻を舐めている姿から、リラックスしている様子が想像できるでしょう。手足の指をぱっと開いて、指間を丁寧に舐める姿も見られます。 ただし、眠たい時は、顔や背中だけなど省略される場合もあるようです。
ストレスを感じた時
猫がストレスを感じた時にも、落ち着きたい一心で毛繕いをします。くつろいでいる時に行うような丁寧さはなく雑になり、一生懸命になりすぎて大きな鼻息を出すこともあるでしょう。 日常生活でのストレスだと、「大きな音や声」などがあげられます。掃除機や工事の音、飼い主さんに大きな声で叱られたなどでストレスを感じてしまい、体を舐めることで落ち着かせようとしています。 ストレスがある時の毛繕いは、無心で一カ所だけを徹底的に舐め続け、毛が薄くなったりはげたりしてしまうことがあります。皮膚が炎症を起こす可能性も考えられるため、このような毛繕いをしている場合にはできるだけ早めに対処しましょう。
猫は毛繕いを1日にどれくらいの頻度でする?
食事の後やリラックスしている時、ストレスを感じた時など、毛繕いは頻繁に見られます。睡眠が多い猫にとって、1日に行う毛繕いはどれくらいなのでしょうか? 1日24時間のなかで、2時間以上を毛繕いにあてていると言われています。1日の猫の行動時間は10時間程度なので、1日の5分の1以上がお手入れの時間にあてています。
猫が毛繕いする頻度が変わったなら要注意のサイン!
猫は、毎日決まった行動を取ると言われています。熟睡したり活発になったりと、一日の行動パターンはおおよそ決まっています。 だからこそ、これまで行ってきた毛繕いの頻度から、過度に増えたり減ったりしたら注意が必要です。増えた場合と減った場合の理由と対処法をそれぞれ紹介します。
猫の毛繕いが過剰に増えたなら強いストレスを感じている
心を落ち着かせる毛繕いの増加は、ストレスを抱えている可能性があります。 掃除機を使った瞬間などでは一時的に回数が増えることがありますが、掃除が終わればすぐに元に戻るでしょう。 しかし、常に毛繕いをしていれば、持続的にストレスがかかっている可能性があるので注意が必要です。持続的な猫のストレスには、原因が様々で、放置すると健康に影響が出る恐れがあります。
【毛繕いの増加で考えられる主な病気】
・毛球症:飲み込んだ毛玉が胃腸内で毛玉になる
・胃腸炎:毛玉が原因で胃腸が炎症を起こす
・腸閉塞:毛玉が腸管で詰まる
・皮膚炎:舐めて傷ができ、皮膚が炎症を起こす
・脱毛症:舐めすぎてはげる
中でも腸閉塞は緊急疾患で、処置が遅れると命を落とす危険な病気です。命に関わる病気になる前に、ストレスを緩和できるように対処しましょう。 ストレスの原因によって対処法が変わってきますが、一人で安心できる場所を作ってあげるのはひとつの方法です。 猫は一人の時間を大切にするので、静かで誰からも邪魔されない、猫が安全だと思える隠れ家を用意してみてください。
猫が毛繕いしなくなったなら肥満や老化のサイン
逆に1日の毛繕いの回数が徐々に減ってきたら、太りすぎや高齢が原因かもしれません。
【毛繕いの回数が減少する主な原因】
・肥満:お腹の肉で体が舐めづらくなる
・老化:体力の低下に伴い頻度が落ちる
猫の健康維持も兼ねているのが毛繕いです。回数が減ってしまうと毛玉ができて皮膚トラブルのリスクが高まるなど、健康に悪い影響を及ぼす可能性があります。毛繕いが減った原因が分からない場合は、動物病院で相談することも検討しましょう。 健康に問題がなく肥満や老化などが原因で毛繕いが減っているのであれば、ブラッシングで手助けしてあげましょう。
猫の毛繕いの異変で気付けるサイン
猫の毛繕いを見ていると、ひどく舐めたり歯を使ったりするなど、色々なやり方がみられます。しきりに噛んだり舐め方が激しくなったりなど、いつもと違う時は何かの異常のサインかもしれません。治療が必要な場合もあるので、しっかり観察しておきましょう。
細かく噛むのはかゆみや毛の汚れを取りたいから
毛が絡んでいると毛繕いの途中で噛むしぐさを見せることがありますが、かゆみや汚れを取り除くためにするケースがあります。 いつまでも噛み続けるようなら、皮膚や毛に異常がないかチェックしてみましょう。
【チェック項目】
・皮膚:かゆみがないか、湿疹や虫などに刺された跡がないか
・毛:汚れやもつれがないか
湿疹や虫刺されですと、動物病院でかゆみ止めなどを処方してもらえます。 また、汚れやもつれが見つかったら、飼い主さんが汚れを取ってあげたり、もつれを解いてあげたりすると良いでしょう。
激しく舐めるのはノミや傷・病気のサインかも?
ストレス以外で舐め方が激しい場合は、何か気になっている可能性があります。例えば、ノミがいたり、傷や病気で痛みを感じている可能性があります。 いずれにしても、動物病院に相談し治療してもらうことをおすすめします。ノミは、人が持ってくる場合があり、室内飼育だからと言ってつかないとは限りません。そのため、定期的な駆虫薬が必要です。 また、傷があり気にしているなら、舐めてひどくする前に治療を受けましょう。病気が疑われるなら、早期に発見・治療することが大切です。
猫が毛繕いしなくなったらブラッシングで負担を軽減してあげよう
飼い主さんがブラッシングで手助けしてあげると、毛繕いが少なくなっても皮膚の健康が保たれ毛づやも良くなります。毛がもつれにくくなり、皮膚の負担も軽くなるでしょう。まだ猫がブラッシングに慣れていないのであれば、以下の手順を踏んで取り組んでみてください。
【ブラッシングの手順】
・手で優しくなでる
・顔をなでながらそっと背中をブラッシングしてみる
・首元を優しくブラッシング
・少しずつ全身をすく
ブラシを見ると、猫が警戒心を見せてブラッシングをさせてくれません。最初は顔をなでてごまかしながらブラシを使うと成功しやすいでしょう。どうしてもブラシが難しい猫ちゃんには、飼い主さんの手にはめて使う手袋型のブラシもあるので試してみてください。 猫ちゃんにとってピッタリの方法でブラッシングをしていきましょう。
猫の毛繕いには重要な意味がある!
毛繕いは、健康維持ができるうえ、他にも自分のにおいを付ける、体温調節するなどの役目があります。激しかったり噛んだりする場合には、ストレスやかゆみ、傷や病気などが関係している可能性があるためしっかりチェックしてみましょう。猫ちゃんの毛繕いの異変を見過ごさずにきちんと対処して、穏やかに暮らせる環境を作ってあげることが大切です。