猫が夜鳴き(夜泣き)をする原因とは?夜鳴きの原因と対処法を解説
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お迎えしたばかりの愛猫が夜鳴き(夜泣き)をする、長年一緒に暮らしていた愛猫が突然夜鳴きを始めた…そんな悩みを抱える飼い主さんも多いかもしれません。この記事では、猫が夜鳴きをする原因ややめさせるための対処法についてご紹介します。
この記事の監修者

荒川 真希
ヤマザキ動物看護大学 動物臨床栄養教育学研究室
講師[愛玩動物看護師・ペット栄養管理士・VT・AHT・CDT・DGS]
猫が夜鳴きをする原因
猫の夜鳴きには様々な理由があります。ここでは、代表的な原因を5つご紹介します。
①猫の習性
猫は本来「薄明薄暮(はくめいはくぼ)性」の動物です。薄明薄暮性とは、明け方と日没直後に行動することを指します。飼い主さんと共に生活する猫でもこの本能は残っているため、夕方から夜間にかけて活動的になり、夜鳴きをすることがあります。
②ストレス・不安
環境の変化によるストレスや不安が原因で夜鳴きをすることがあります。猫は繊細な動物で、日常の小さな変化にも敏感です。例えば、引っ越しや家に家族以外の人が来た時や雷が鳴った時など、外的要因で不安を感じて夜鳴きをすることがあります。また、新たな猫を迎えた場合、先住猫がストレスや不安を感じ、夜鳴きをすることもあります。
③飼い主への要求
猫が夜鳴きをする原因のひとつに、飼い主さんへの要求があります。例えば、お腹が空いている、トイレが汚れている、遊んで欲しいなどの理由で夜鳴きをすることもあります。愛猫が何を求めているかを普段からよく観察することが大切です。
④発情行動
避妊・去勢手術をしていない猫は、発情期になると夜鳴きをすることがあります。特にメス猫は大きな声で夜鳴きをしてオス猫を呼ぶ行動を取ります。発情によるストレスが原因で睡眠時間が短くなり夜鳴きをするのです。 これは自然な行動ですが、飼い主さんにとっては悩みの種になることもあります。特に春先の発情期に多く見られますので、避妊・去勢をしておらず夜鳴きをやめさせたい場合は、動物病院での避妊・去勢手術をおすすめします。
⑤病気や認知症
高齢の猫の場合は、病気や認知症などが原因で夜鳴きをすることがあります。例えば、甲状腺機能亢進症によって猫の睡眠時間が減少すると、夜鳴きをすることがあります。猫の甲状腺機能亢進症は、身体の代謝をコントロールするホルモンが過剰に分泌されているため、寝られないだけではなく、見かけ上は活発になる、または活発過ぎる状態になります。
また近年、猫の寿命が延びる中で、高齢猫の認知症の症例も増えています。認知症とは、進行性の認知力低下を原因とした行動変化の総称です。認知症の猫は、昼夜逆転した行動を取ったり、夜鳴きをしたりすることが多くなります。
猫の夜鳴きの対処法
愛猫の夜鳴きに悩まされている飼い主さんも少なくありません。以下に猫の夜鳴きをやめさせる方法を6つご紹介します。
①トイレ掃除や食事に気を配る
トイレを清潔に保ち、適切な量の食事を与えることで猫の夜鳴きを防止できる可能性があります。猫はきれい好きなので、トイレに排泄物が残っていると飼い主さんに掃除を要求することがあります。また、食事の量が少ないと、夜中に鳴いて飼い主さんを起こしてしまうことも。フードの袋に記載された給餌量はあくまで目安であり、愛猫の体型や運動量などによって調整が必要です。夜鳴きを防ぐためにも、夜になる前にトイレ掃除や食事の確認を行いましょう。
②ストレスや不安を取り除く
猫にとって安全でストレスや不安のない環境を整えてあげることは重要です。猫はストレスや不安を感じると夜鳴きをする可能性が高くなります。例えば、高い場所や隠れ家を用意してあげたり、動物病院に相談して不安を軽減する薬やサプリ、フェロモン剤などの薬剤を使用したりすることも効果的です。愛猫のストレスや不安が軽減すれば、夜鳴きが改善されるかもしれません。
③寝床を整えてあげる
快適な寝床を用意してあげることで、猫の夜鳴きが改善されることがあります。愛猫が落ち着けるお気に入りの場所に暖かく柔らかい寝床を用意してあげると、愛猫の睡眠の質が向上し、夜鳴きが改善されることがあります。またそのような寝床を複数用意してあげることもおすすめします。例えば、柔らかい毛布の寝床、段ボールで作った寝床など、愛猫が気に入る寝床をいくつか用意してみましょう。
④たくさん遊んであげる
日中や夕方にしっかりと遊んであげることで、夜中に活動的になるのを防ぐことができます。室内飼いの猫は、運動不足になりがちのため、夜中にエネルギーを発散しようと夜鳴きをしたり走り回ったりします。愛猫が夢中になれるおもちゃを使って遊んであげることで、しっかり運動量を確保してあげましょう。
⑤避妊・去勢手術をする
発情が原因の夜鳴きには、避妊・去勢手術が有効です。避妊・去勢手術を行うメリットは、発情期の行動を抑えられるだけでなく、健康面にも良い影響があります。例えば、乳腺や生殖器系の病気のリスクが軽減され、オス猫が外に出て繁殖行動を行う際に起こりやすい感染症や事故のリスクも減少します。そのことから、避妊・去勢手術をした猫の方が、避妊・去勢手術をしていない猫よりも寿命が長くなる傾向があります。ただし、避妊・去勢手術は全身麻酔で行われるためリスクが伴いますので、獣医師と相談の上行いましょう。
※手術前に発情を経験している猫の場合、避妊・去勢手術を行っても、発情が原因の行動を改善することが難しい場合があります。
⑥動物病院に相談する
①~⑤を行っても猫の夜鳴きが続いたり、突然始まったりした場合は、病気の可能性も考えられるため、動物病院に相談しましょう。特に高齢期の猫は、甲状腺機能亢進症や認知症などの病気を発症することがあるため、定期的な健康診断が重要です。動物病院に相談することで、病気の早期発見に繋げましょう。
まとめ
この記事では、猫が夜鳴きをする主な理由と、その対処法についてご紹介しました。猫の夜鳴きには様々な原因があり、それぞれに合った対処や対策が必要です。まずは原因を見極め、適切な対応を取りましょう。飼い主さんが愛情を持って根気強く接することで、多くの場合、夜鳴きは改善されます。ただし、改善が見られない場合や病気の兆候がある場合には、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。愛猫との快適な生活のために、飼い主さんができる最善の対策を見つけてあげましょう。