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ペットライン 猫ノート

Cat Note

【獣医師監修】愛猫の関節症にそなえよう

猫によく見られる関節症は「変形性関節症」です。これは関節軟骨の性質の変化や、関節包にある滑膜に炎症が生じます。慢性的な痛みや動きづらさを伴い、過去の研究では、6歳以上の猫の60%(*1)に変形性関節症の疑いがあると報告(*2)がありました。関節症の予防には、愛猫の年齢が若い時から、生活の見直しやそなえがとても大切になります。

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枝村 一弥

獣医師/日本大学 生物資源科学部 獣医学科 教授
日本大学農獣医学部 獣医学科卒業、東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻博士修了、日本大学生物資源科学部教授。 日本大学動物病院 病院長。博士(獣医学)。日本小動物外科専門医。 アジア獣医外科設立専門医。動物再生医療推進協議会理事。動物のいたみ研究会会長。

関節トラブルの原因

関節症の多くの原因は、加齢や病気に伴って生じる関節への負担や軟骨の摩耗です。しかし、若い猫であっても肥満により関節へ大きな負担がかかり、関節症を発症する場合があります。また、先天性・遺伝性による形成異常も原因のひとつです。スコティッシュ・フォールド、マンチカンなどは成長段階で関節症になってしまう場合もあります。 

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関節症チェックリスト  

猫は痛みを隠す動物なので、普段の行動に変化がないかチェックし、関節症にそなえましょう。 

□ ジャンプができなくなる 

□ 高いところから飛び降りることができない  

□ 階段を上がらない・下りられない  

□ あまり動かない  

□ 長時間寝ている  

□ あまり遊ばない   

□ トイレの使用が難しくなる  

□ 毛繕いをしなくなる  

□ 爪とぎをしなくなる  

□ 人との関わり合いを避ける  

□ 怒りやすくなる  

□ 食欲が低下する  

□ 歩き方がおかしい  

関節症の予防につながる3つのそなえ 

健康な関節を維持するために、次の3つのそなえが大切なので、愛猫の生活にとり入れてみましょう。  

  1. 健康的な体重維持でそなえる 
    正しい食事量と適度な運動で健康的な体重を維持し、関節に大きな負担がかからないようにしましょう。また、シニア期になったら関節の健康維持のために、コラーゲン・コンドロイチン・グルコサミン・オメガ3不飽和脂肪酸などが含まれているフードやサプリメントを選びましょう。  
  2. 適度な運動でそなえる  
    猫はキャットタワーなど、高いところに上ったり下りたりする運動が大好きです。室内でも愛猫が運動できるようにしましょう。運動は肥満対策だけでなく、関節周りの筋肉の維持にも役立ちます。健康的な筋肉量を維持することで、関節の安定化に役立ちます。筋肉の健康維持のためにBCAAやリジンといった必須アミノ酸の摂取をおすすめします。  
  3. 生活環境を整備してそなえる  
    シニア期の猫や先天性・遺伝性による形成異常のある猫種は、関節に負担がかからないように工夫をしましょう。お気に入りの場所・トイレ・水飲み場などへ行きやすいよう、階段の設置や大きな段差をなくすことをおすすめします。  

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関節症になると、またいで入るタイプのトイレが苦手になる場合があるので、ステップを付けるなど工夫をしましょう。

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生活環境の改善、栄養面の向上、獣医療技術と設備の進化などを背景に、ペットの長寿化が進んでいます。この変化に伴い、関節の痛み、筋肉の衰え、腎臓機能や認知機能の低下など、加齢に伴う疾患や機能低下も見られるようになりました。この現状を背景に、ペットフードメーカーであるペットライン株式会社では、シニア期にそなえてわんちゃん・ねこちゃんの生活環境や食事の内容を見直し、変化を見逃さないようにすること、飼い主さんも正しい知識を身につけることが大切だと考え「いぬとねこ シニアのそなえプロジェクト」を発足しました。 

このプロジェクトをきっかけに、皆さんで一緒に「シニアのそなえ」について考えていきましょう。 

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