【専門家監修】愛犬の健康診断はいつ受けるといい?検査の内容・注意点・費用を解説!
愛犬にはいつまでも健康でいて欲しいものです。人間と同じく、犬の病気も早期発見・早期治療が重要。そこで欠かせないのが、定期的な健康診断です。でもいつ動物病院に連れていくべきか、どのような検査をするのか分からない飼い主さんもいらっしゃるでしょう。 そこでこの記事では、犬の健康診断の検査項目や注意点、費用についてご紹介します。
この記事の監修者
犬に健康診断が必要な理由
犬は言葉で不調を訴えることができません。調子が悪そうに見える時には、すでに病気が進行してしまっている場合もあります。健康診断は愛犬の異変に気づくきっかけとなり、病気の早期発見や予防にも繋がります。つまり、愛犬の健康を守るために必要なことなのです。 犬は人間と比べて非常に速いスピードで歳を取ります。例えば、小型犬だと1歳で人間の15歳、大型犬だと1歳で人間の12歳に該当すると言われています。その後、犬の成長は穏やかになり、小型犬は1年ごとに4歳ずつ、大型犬は7歳ずつ歳を取っていくそうです。犬も歳を取ると免疫力が低下し病気にかかりやすくなります。健康リスクを考えると、やはり健康診断は欠かせないのです。
犬の健康診断のタイミングと頻度
犬の健康診断を行う年齢や頻度に明確な基準はありません。一般的に生後6カ月間は、予防接種などを受けるため定期的に動物病院で健康チェックをしてもらうことでしょう。その後、動物病院に行く頻度が減る1歳ごろから、少なくとも年に1回を目安に健康診断を受けることをおすすめします。前述した通り、小型犬であれば生後1年間で人間の15歳相当に成長します。以降は犬の成長は穏やかになるため、生後1年後の段階で生まれ持った病気などを健康診断で把握し、適切な処置を施すことが可能となります。 7歳を超えた犬は中高齢期に差し掛かり、体調不良などのトラブルが出やすくなります。そのため、できるだけ半年に1回の頻度で健康診断を受けることをおすすめします。
犬の健康診断での8項目
犬の健康診断で主に行われる検査内容の8項目をご紹介します。動物病院によってはオプションコースに入っている項目もありますので、あらかじめかかりつけの動物病院にご確認ください。
1.問診
問診とは、愛犬の様子について飼い主さんが獣医師に話し診察してもらうことです。愛犬の普段の様子や食欲、排泄の状態などを獣医師に伝えます。愛犬の健康状態について気になることがあれば、問診の際に獣医師に伝えてください。言葉のみで伝えにくいような行動や症状があれば、愛犬の様子を写真や動画で撮影して見せるのも良いでしょう。
2.血液検査
血液に含まれる成分を分析します。血液検査によって、肝臓や腎臓などの内臓の機能について、また愛犬の栄養状態までチェックすることが可能です。血液検査には多くの項目があり、多くの動物病院ではオプションで項目を追加することができます。どの項目を選択するかについては、獣医師と相談すると良いでしょう。
3.一般身体検査
体重測定や検温をはじめ、全身の状態を視診・触診・聴診によって確認する検査です。目や耳、歯の状態も確認し、愛犬が嫌がるところや腫れているところがないか、出血していないかなどをチェックします。
4.尿検査・糞便検査
尿検査では、尿の色や比重(水の比重を1とした時のおしっこの重さ)を測定し、腎臓による尿の濃縮機能に問題がないか、さらに細菌や結晶がないかなどを検査します。 糞便検査では、寄生虫に侵されていないか、細菌のバランスが適切な状態であるかなどを検査します。 尿や糞便は、なるべく採取したてのものを持って行きましょう。
5.血圧測定
肢(あし)やしっぽにカフを巻いて測定し、心臓の働きや血管壁の弾力性を確認します。心疾患や腎疾患、眼科疾患が疑われる場合にも行われます。
6.心電図検査
不整脈や心臓病、心筋梗塞など、心臓に関連する異常がないかを確認します。
7.レントゲン検査
レントゲン検査によって愛犬の骨に異常がないか、内臓の大きさや位置は正常か、などの項目を検査します。レントゲン写真を撮ることで、先天的な骨格異常や関節のトラブル、腫瘍の有無が分かり、また膀胱や腎臓の結石などを早期発見できる可能性があります。レントゲン検査はオプションとなっている場合もあります。
8.超音波検査
内臓の状態を細かく検査できます。例えば、レントゲン検査では発見できなかった腫瘍などを発見できる可能性もあります。心臓や胃腸などの臓器の形や動き、または血液の動きまで検査が可能です。超音波検査では麻酔が必要ないため、愛犬に掛かる負担を比較的軽減できます。しかし、検査では確認したい部分に専用のゼリーを塗布したりアルコールで濡らしたりして、超音波の出る器具を当てる必要があるため、画像が確認しにくい場合や検査部位によっては毛を剃る必要があります。
犬の健康診断での注意点
犬の健康診断を受けるに当たり、いくつかの注意点があります。ここでは、以下3つの注意点についてご紹介します。
1.検査前の食事
健康診断の項目によっては断食が必要な場合があります。例えば、血液検査や超音波検査などの項目です。一般的に断食は、健康診断前夜から行い、検査当日は水だけを与えるようにしましょう。獣医師の指示に従い、適切な時間に断食することが大切です。 もし、愛犬が日常的に服用している薬があれば、事前に獣医師に確認してどうすれば良いかを確認しておきましょう。
2.尿検査や糞便検査について
一般的に尿検査や糞便検査を行う場合、検査当日に尿や糞便を持参することがすすめられます。犬は人間とは異なり、尿や糞便のタイミングをコントロールすることができません。そのため、計画的に採取する必要があります。採取方法については事前に獣医師または愛玩動物看護師から説明を受け、その指示に従いましょう。
3.愛犬の体調
健康診断当日の愛犬の体調が良くない場合、健康診断を受ける前に獣医師に相談しましょう。体調によっては、健康診断ではなく診察に切り替える場合があります。犬は言葉を話せないため、飼い主さんが日頃から愛犬の状態をよく観察しておくことがポイントです。
犬の健康診断の費用の目安
犬の健康診断の費用は動物病院によって異なります。公営社団法人日本獣医師会による2023年9月の「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」によると、健康診断(1日ドック)の料金の中央値は16,250円でした。費用の目安として把握しておくと良いでしょう。 また、単体の検査項目を獣医師と相談してアレンジすることも可能です。いくつかの検査項目を組み合わせると数千円で済む場合もあります。健康診断に掛かる費用は決して安くはありません。しかし、愛犬が病気になった際に掛かる費用を考慮すると、最終的に費用の負担を軽減できるかもしれません。いずれにせよ、愛犬の健康を一番に考えてあげてください。
まとめ
健康診断によって、見落としがちな病気やケガ、不調が見つかる場合もあります。愛犬の年齢や状況に応じて、定期的に受けるようにしましょう。もちろん、普段から観察することも大切です。縁あって一緒に暮らすことになった愛犬には、ずっと健康で楽しく暮らしてもらえるような体制や習慣を整えましょう。