- Column -

ペットライン 犬ノート

Dog Note

【専門家監修】犬を夏バテから守ろう!よく見られる症状と3つの対策を紹介

公開日:

犬は暑さに強くありません。暑い日が続き、「愛犬の元気がない」「フードを残すようになった」など、愛犬の様子がいつもと違う場合、夏バテしているかも知れません。今回は、犬の夏バテの見分け方と3つの対策方法をご紹介します。

この記事の監修者

秋山 蘭のイメージ画像

秋山 蘭

ヤマザキ動物看護大学 動物臨床栄養学研究室
助教 [修士(獣医保健看護学)・愛玩動物看護師・ペット栄養管理士・CRT]* *監修当時の所属・肩書きです。

犬の夏バテとは


夏バテは人間だけでなく、犬もなることがあります。犬は暑さへの耐性が弱い上に、体の構造上、体温調節が苦手です。そのため高温多湿な環境下にいると、夏バテすることがあります。犬が夏バテする時の症状は、基本的に人間が夏バテする時と差異はありません。例えば、以下のような症状が見られます。

・食欲がなくなる
・元気がない
・寝ている時間が長くなる
・散歩に行きたがらない
・下痢や嘔吐をする

それぞれ詳しく見てみましょう。

食欲がなくなる


犬も夏バテすると食欲がなくなります。普段は食欲旺盛な愛犬がフードを残すようになったり、においを嗅ぐだけで食べようとしなかったり、おやつに興味を示さなかったりする場合は、夏バテしている可能性が考えられるでしょう。

元気がない


いつもより元気がなく、ぐったりとしているのも夏バテの症状の一つです。飼い主さんが呼びかけても反応が鈍かったり、おもちゃで遊びたがらなかったりする場合は夏バテを疑いましょう。

寝ている時間が長くなる


夏バテになると活動が鈍るため、必然的に寝ている時間が長くなります。もし、愛犬が日中も遊ぶことなく寝てばかりいたら、夏バテが原因かもしれません。

散歩に行きたがらない


散歩に行きたがらないのも夏バテのサインの一つです。暑いと、犬も動くのが億劫になることがあります。また、夏バテで食欲がなくなると体力も落ちるため、外に出たがらなくなります。

下痢や嘔吐をする


気温や湿度の変化が体に負担となり、消化器の機能が十分に働かなくなると、下痢や嘔吐などの症状が出やすくなります。

犬の脱水症状に注意!


犬は体の60%以上が水分でできており、その内およそ15%以上の水分が失われると、脱水症状を起こすと言われています。犬は、汗をかいて体温を下げるのが難しい生き物です。そのため、犬はパンティング(舌を出してハアハアとする呼吸)することで、唾液を蒸発させて体温を調節しようとします。しかし、このパンティングをすると、体内の水分が出てしまうため、継続して行うと脱水症状になることがあります。
犬が脱水症状を起こすと命に関わることもあるため、暑い時期は夏バテの症状に加え、脱水にも注意しなければなりません。

下記の「脱水症状を見分けるチェックポイント」を使い、愛犬に脱水症状が出ていないか定期的に確認しましょう。チェック項目にひっかかる場合は、深刻な状況も考えられるため、一刻も早く獣医師の診察を受けるようおすすめします。
犬_202402_リライト記事35_犬 夏バテ_イラスト内文字変更.jpg

犬の夏バテ対策3選


犬にとって暑さは大敵です。特に子犬や老犬、短頭種、北方原産の犬などは、暑さに対応するのが苦手とされています。夏バテはどの犬にも起こり得るので、しっかり対策しましょう。ここでは、簡単にできる3つの対策をご紹介します。

十分な水分を摂れるようにする

img02 (11).gif
 
夏バテ対策の一番の方法は「十分な水分を摂ること」です。季節や生活環境、運動量、ストレスの有無、ライフステージ(授乳中など)などによっても異なりますが、犬に必要とされる1日あたりの水分量は、体重1kgあたり50~60ml程度が目安とされています(フードの水分も含みます)。
例えば、体重10kgの犬の場合、1日に500~600mlほどの水分が必要です。ただしこの水分量はあくまでも目安です。愛犬に合った量の水を与え、水分を十分に摂っているか、こまめにチェックしましょう。

愛犬がいつでも新鮮な水を飲めるように、部屋の色々な所に水飲み場を用意してあげて、こまめに換えてあげてください。水の容器をひっくり返してしまう可能性がある場合には、容器を固定するようにしましょう。
また、ドライフードを水でふやかしたり、缶詰などウェットタイプのフードと合わせて与えたりすると、効率良く水分補給させられます。水もフードも、なるべく日の当たる場所に置くことは避けましょう。

涼しい環境を整える

img01 (14).gif
 
窓を閉め切った部屋の中や日の当たる場所に居続けると、夏バテの危険が高まってしまいます。カーテンを閉めて日陰を作ってあげたり、窓を開けて風通しの良い場所を確保してあげたりなど、工夫してあげましょう。なお、遮光カーテンにしてあげると、直射日光をより遮れるため、室内温度の上昇を防ぐことができます。

短頭種の犬や肥満気味の犬など、特に暑さに弱いタイプには、涼しい環境を整えてあげましょう。ハウスやベッドを涼しい所に置いてあげるのはもちろん、冷却シートや床置きのクールボードなどのひんやりグッズも活用できます。ペットボトルを凍らせてタオルや布でくるんだものを使用しても良いでしょう。色々と工夫しつつ、愛犬がクールダウンできる場所を作ってあげてください。また、涼しい場所に、いつでも自由に行ける環境だとより理想的です。

その他、クーラーや扇風機などで室温を下げてあげるのも有効です。ただし、冷気は下に溜まる性質があるため、床近くにいる犬の体を冷やし過ぎてしまうことがあります。体の冷やし過ぎは良くないため、温度管理には注意しましょう。ちなみに、犬にとっての快適な温度は25℃前後、湿度は50%前後とされています。

サマーカットをする


犬は体全体が被毛で覆われているため、熱をため込みやすいと言われています。中でも長毛種やダブルコートの犬は熱がこもりやすいので、サマーカットしてあげるのも一つの手でしょう。被毛を短くカットしてあげるだけでも、涼しく感じられ、夏バテ対策になります。ただし、被毛には強い日差しや紫外線から皮膚を守るという大切な役割もあるので、あまり短く切り過ぎないよう注意が必要です。

熱中症についての記事もご覧ください。
【専門家監修】犬の熱中症に注意!症状や予防方法、応急処置の仕方を解説

まとめ


あまりに暑いと、人間も犬も活動的になれないものですが、もしかしたら愛犬から夏バテのサインが出ているかも知れません。夏バテと言っても、気がついたら重症になる場合もあります。普段から夏バテしないよう対策することはもちろん、愛犬の様子をしっかり見守ることが大切です。何かあった際には、すぐにかかりつけの獣医師に相談するようにしましょう。

あわせて読みたい記事

SNS公式アカウント