【専門家監修】犬の歯の生え変わる時期や順番はいつ?出血などのトラブルや注意点、対処法を解説
犬も人間同様、乳歯が生えて永久歯へと生え変わります。上手く生え変わることができなかったり、乳歯が残ってしまったりなど、いくつかのトラブルを起こすことがあるため注意しましょう。また生え変わりの時期は、歯磨きを覚えるチャンスでもあります。この記事では正しい知識と対応法などをご紹介します。ぜひ愛犬の歯の健康を守りましょう。
この記事の監修者

生え変わる時期や順番
生まれたばかりの子犬には歯が生えていません。まずは乳歯が生え、乳歯が永久歯に生え変わります。
乳歯
生える時期 | 生後2〜3週間頃から生え始め、生後2カ月頃で生え揃う |
本数 |
上14本、下14本の合計28本 |
永久歯
生え変わる・生え揃う時期 | 一般的に生後4~6カ月の間に乳歯は永久歯へと生え変わる |
本数 |
上20本、下22本の合計42本 |
生え変わる順番 | 一般的に、切歯(前歯)→臼歯(奥歯)→犬歯の順に生え変わる |
ちょっと豆知識
人間の歯は全部で28~32本ですので、実は犬の方が歯の本数が多いのです。
乳歯が生え変わる際の注意点と対処法
乳歯が生えたり、乳歯から永久歯に生え変わったりする際には、イタズラや口腔内トラブルなど様々な注意点が発生します。それぞれの注意点ごとの対処法を紹介します。
- 甘噛みが増える
- 抜けた歯の誤飲
- 口からの出血
- 食欲不振
- 乳歯遺残(にゅうしいざん)
甘噛みが増える
乳歯が生え変わる時期は、歯の根元がムズムズと痒くなります。子犬は痒さをごまかすために、飼い主さんの手を甘噛みしたり、家具を噛んだりといったイタズラをします。子犬だからと放っておくと癖がつき、成犬になっても噛み癖が直らなくなります。飼い主さんがケガをしたり、誤飲したりとトラブルにもつながりますので、ぜひ直しましょう。
対処法
愛犬が甘噛みをしてきたら、すぐに遊ぶのをやめましょう。また、「ノー」「痛い」と言った意思表示をはっきりすることが大切です。 優しく注意したり、泣いたフリをしたりすると、言葉のわからないわんちゃんは、楽しい!構ってくれている!と勘違いします。愛犬が「人の手は咬まないほうが良いんだ」と感じてくれるような反応を返す必要があります。その代わりに、噛んでも良いおもちゃや布を用意してあげましょう。
抜けた歯の誤飲
ぐらぐらしている歯がフードを食べている時に抜け、そのまま一緒に飲み込んでしまうことがあります。
対処法
飲み込んでしまっても便と一緒に排出されるので、特に問題はありませんが、便と一緒に排出されているかを念のためチェックしましょう。
口からの出血
乳歯が抜け落ちる際に、少量の出血をすることがあります。通常であれば自然と止まるため放っておいて問題ありません。もし出血が止まらない、出血量が多い場合には対処が必要です。
対処法
出血している時は歯や歯茎に負担がかからないように、食べ物や硬いおもちゃを与えないようにしましょう。5分以上経っても出血が止まらない、出血量が多い場合には、他の問題が起きている可能性がありますので、すぐに動物病院に連れていきましょう。
食欲不振
歯に違和感を覚えたり、歯がぐらぐらして上手く食べられなかったりするため、一時的に食欲不振になる場合があります。
対処法
愛犬は食べたくても食べられないという状況のため、フードを食べやすいように水でふやかして軟らかくしてあげましょう。ウェットフードの利用もおすすめです。
乳歯遺残(にゅうしいざん)
乳歯遺残とは、乳歯が正常に抜けずに残ることです。乳歯遺残が起こることで、歯垢・歯石が溜まりやすくなります。結果的に口腔内で細菌繁殖が起こり口腔衛生状態を悪化させ、様々な口腔内のトラブルや病気の原因になります。また、歯並びが悪くなることもあり、フードが食べづらくなることもあります。
乳歯遺残の確認方法
愛犬の口の中を確認しましょう。二重に生えている歯がないか、生え変わりの末期に乳歯が残っていないか、フードを食べづらそうにしていないか、口臭がしないかを確認しましょう。
対処法
乳歯遺残は自宅での対処はできません。乳歯遺残が疑われたら動物病院へ連れていきましょう。
ぐらぐらする歯は抜いても平気?
基本的にはフードを食べたり、遊んだりしているうちに自然と乳歯は抜けますので、グラグラしているからと言って無理に抜くことはやめましょう。 無理に抜くことで乳歯の歯根が歯茎に残ったり、細菌感染などを引き起こしたりする場合があります。
乳歯のうちが歯磨きを覚えるチャンス!
愛犬の歯の健康を守るために歯磨きを習慣づけるタイミングは、生え変わり前のうちがおすすめです。成犬になってからいきなり歯ブラシを口の中に入れると、愛犬は驚いて飼い主さんを噛んだり、歯みがき嫌いになったりします。まずは、子犬のうちから口の周りを触り、慣れさせるようにしましょう。乳歯の生えている時期から始められるとベストです。ただし、この場合もいきなり口の奥まで指を突っ込んだり、歯ブラシを使ったりするのは避けましょう。
次の順番で慣れさせていきましょう。
1.指で口周りを優しく触り、触らせてくれたら褒めましょう。おやつをあげるのも良いでしょう。
2. 次に唇をめくり、指で切歯(前歯)を優しく触り、触らせてくれたら褒めましょう。
3.更に犬歯、臼歯(奥歯)も同じ手順で触るようにしましょう。
4.口の周りや口腔内を触られることに慣れたら、切歯(前歯)を歯磨きシートで優しく磨いてみましょう。歯をきれいにすることも大切ですが、この段階では慣れさせることを優先します。仮に磨けていなくても、嫌になる前に短時間で終わらせ、おやつも使いながら褒めましょう。
5.同様に、犬歯や臼歯(奥歯)も優しく磨いてみましょう。
6.歯磨きシートを受け入れるようになったら、同様の方法で歯ブラシに慣らしていきましょう。 大切なことは、愛犬が良い気分でいられるようによく褒めることと、飽きたり疲れたりする前に終わらせることです。この手順を1日で実施することはありません。焦らず少しずつ段階を踏んで慣れさせてください。
まとめ
私たち人間同様、犬も歯の健康維持は大切です。特に犬にとって歯や口はフードを食べるだけではなく、コミュニケーションをとったり、遊んだりする道具としても重要です。また人と違って虫歯になりにくい反面、非常に歯石がつきやすく、歯周病になりやすいといった特徴があります。歯周病を放置して重症化すると、細菌が全身に回り様々な疾患を引き起こします。歯が生え変わる子犬の頃だけでなく、シニア犬になっても健康でいられるために愛犬の口の健康を維持していきましょう。