【獣医師監修】愛犬の関節症にそなえよう
愛犬がシニア期になっても健康でいるために、若い時・健康な時から“そなえ”ましょう。『変形性関節症』は、加齢や様々な要因で関節軟骨の性質の変化や、関節包にある滑膜に炎症が生じます。慢性的な痛みや動きづらさを伴い、大型犬は小型犬に比べてリスクが高くなります。予防するには、愛犬の年齢が若い時からの生活・運動・食事のそなえがとても大切になります。
この記事の監修者
枝村 一弥
獣医師/日本大学 生物資源科学部 獣医学科 教授
学部 獣医学科卒業、東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻博士修了、日本大学生物資源科学部教授。 日本大学動物病院 病院長。博士(獣医学)。日本小動物外科専門医。 アジア獣医外科設立専門医。動物再生医療推進協議会理事。動物のいたみ研究会会長。
関節に起こるトラブルの原因
関節症の多くの原因は、加齢や病気に伴って生じる関節への負担や軟骨の摩耗です。しかし、若い犬であっても肥満や激しい運動、フローリングで足が滑ることにより関節へ大きな負担がかかり、関節症になってしまう場合があります。
関節症チェックリスト
犬は言葉を話すことができないため、体の痛みや辛さを言葉で飼い主さんに伝えることができません。愛犬に次のような行動が見られないかをチェックし、関節症にそなえましょう。
□ 歩き方がおかしい(ひきずる、地面につかないなど)
□ 階段を上がらない・下りられない
□ 関節をなめたり、噛んだりする
□ 関節が熱をもっている、腫れている
□ 動きたがらない、散歩に行きたがらない
□ 昼間に寝ている時間が長い
□ 身体を触られたがらない
□ 寝ている状態から起き上がる際に時間がかかる
関節症の予防につながる3つのそなえ
変形性関節症を完全に予防する方法はありませんが、次の3つの そなえが大切なので、愛犬の生活にとり入れてみましょう。
- 健康的な体重維持でそなえる
正しい食事量と適度な運動で健康的な体重を維持し、関節に大きな負担がかからないようにしましょう。また、シニア期になったら関節の健康維持のためにコラーゲン・コンドロイチン・グルコサミン・オメガ3不飽和脂肪酸などが含まれているフードやサプリメントを選びましょう。 - 適度な運動でそなえる
運動は肥満対策にもなりますが、関節周りの筋肉の維持にも役立ちます。ただし、過剰な運動は関節に負担がかかりますので、愛犬にとって適度な運動量で健康的な筋肉量を維持しましょう。筋肉の健康維持のためにBCAAやリジンといった必須アミノ酸の摂取をおすすめします。 - 生活環境を整備してそなえる
犬にとって階段の上り下りは関節への大きな負担になりますので、階段の上り下りを減らすために、愛犬の生活スペースは同じ階にまとめて設けるようにしましょう。また、滑るフローリングなどの床も関節に負担をかけます。カーペットや滑り止めとなるマットを敷くなど、滑りにくい素材の床を選んだりすることをおすすめします。
できるだけ愛犬は階段の上り下りを避け、車に乗ったり降りたりする時はサポートをしてあげるのも大切ですよ。
生活環境の改善、栄養面の向上、獣医療技術と設備の進化などを背景に、ペットの長寿化が進んでいます。この変化に伴い、関節の痛み、筋肉の衰え、腎臓機能や認知機能の低下など、加齢に伴う疾患や機能低下も見られるようになりました。この現状を背景に、ペットフードメーカーであるペットライン株式会社では、シニア期にそなえてわんちゃん・ねこちゃんの生活環境や食事の内容を見直し、変化を見逃さないようにすること、飼い主さんも正しい知識を身につけることが大切だと考え「いぬとねこ シニアのそなえプロジェクト」を発足しました。
このプロジェクトをきっかけに、皆さんで一緒に「シニアのそなえ」について考えていきましょう。